目に見えないものを信じるということの大事な例は、霊を信じることである。霊は死後の生命を表現するものであるが、それだけでなく、生きているものもその肉体に霊(魂)を宿していると考えられる。さらに、この生命の息吹は、他の動植物から無生物にまで吹き込まれるにいたった。
こうして、世界は活き活きと輝きはじめるのである。そして、そう感じる自分自身にもまた魂があると思われる。人間精神の誕生である。
目に見えるものの背後に目に見えないものがある。それじゃあ元と同じじゃないかと言われそうだが、そうではない。目に見えるものの背後にあるものは、それが見えなくなっても常に存在する。つまり、魂を信じることは、ものの実在を信じることと似通っているのだ。
|