すみません、順序が逆になってしまいました。もちろん、「まえがき」は全集では、ちゃんと本文の前に置かれております。 ただ、このまえがきは本文とは独立した著作という位置づけになっている。なぜかというと、この文章は長年にわたって見落とされ、独語全集(GW)の別巻に収録されたのは1987年であったからだ。(解題より)
ここで本文を含めた全体を振り返ってみると、本書はフロイトの著作を読む上で大変に役立つサマリーとなっている。それだけでなく、新たな表現もところどころに見られ、特に自我分裂を扱った第八章は興味深かった。
この著作がなぜ未完に終わったのかはよくわからない。内容的にはフロイトの著作活動のほぼ全体を網羅するまでになっているので、終わり近くまでは書かれていたものと推測される。最後の第九章は超自我についての再考であるが、続いていたら何か新しい知見がみられたのかなどといろいろと想像が膨らむところだ。
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