超自我と自我の関係から、精神分析の臨床における負の治療反応(注)の話題になる。通常症状の改善をもたらすはずの治療における進展が、却って症状悪化を招いてしまうような反応のことである。 負の治療反応は治療に対する抵抗の一種であり、その原因は患者に内在する無意識的罪責感にあるという。
超自我に起源をもつ無意識的罪責感は、多くの神経症に認められる。そればかりでなく、超自我の自我に対する振る舞い方が、神経症のタイプを決定づけているともいえる。
強迫神経症においては、自我は超自我から強く罪を責められるが、自我はそのことにある種の不満を感じ、抵抗しようとする。 メランコリーの場合には、超自我に強く責められた自我は、自分の罪をすっかり認めてしまって罰に服してしまう。 ヒステリーでは、自我は超自我の批判を招きそうな素材を抑圧によって遠ざけてしまう。つまり罪責感が生じるもう一歩手前のところで防衛がおこっている。
注:negative
therapeutische Reaktion, 以前は「陰性治療反応」とも訳された。
|