当時32名の著名人にとったアンケートから「読書と良書について――あるアンケート」という一冊にまとめられた本のフロイト執筆部分である。他の著名人の中には、ヘルマン・ヘッセやエルンスト・マッハといった名もあがっており、この本全体を読みたいような興味にかられる。 フロイトがあげているのは、以下の10冊である。
ムルタトゥリの書簡と作品 キプリング『ジャングル・ブック』 アナトール・フランス『白き石の上にて』 ゾラ『豊産』 メレシコフスキー『レオナルド・ダ・ヴィンチ』 G・ケラー『ゼルトヴィーラの人々』 C・F・マイヤー『フッテン最後の日々』 マコーリー『文学歴史評論集』 ゴルペルツの『ギリシアの思想家たち』 マーク・トウェイン『〔「ジム・スマイリーとその跳ね蛙」他〕短篇集』 これには注釈がついている。それらは「もっとも素晴らしい十作品」でもなく「もっとも重要な」でも「愛読書」でもなく、「「良き」親友に似たような書物のこと」であるという。
フロイトが良いと言っているのであるから、それは是非とも読まねばと思うのだが、リストを眺めて私自身現時点でそのものを読んだ本は一冊もない。『ジャングル・ブック』は、子供用の絵本は小さい頃に親しんだことがある。マーク・トウェインの『トム・ソーヤ』と『ハックルベリー・フィン』は読んだことがある。それだけだ。
アマゾンで検索してみたが、ここでも意外にみつからない。フランスとゾラについては、作品はいろいろ出てくるがフロイトの選んだ本はみあたらない。唯一、メレシコフスキーの『ダ・ヴィンチ物語(上・下)』がヒットした。2006年の出版だが、現在は古書でしか手に入らないみたい。例の『ダ・ヴィンチ・コード』の大ヒットを受けて関連本として出版されたのではないだろうか。
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